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2014年11月21日 (金)

「部屋は再生装置」 -良い音のオーディオルーム造りのポイント-

素晴らしい音楽情報は、耳に到達する音空間のあり方によって
最終決定される事実を忘れていませんか?
良い音のオーディオルーム造りのポイントをまとめます。
 
【Point  1】 オーディオルーム造りはオーディオのインフラ整備である
  
1_2 オーディオはオーディオ機器と部屋で成り立っています。
スピーカーから出た音は、部屋の音響特性の影響から逃れることはできません。スピーカーからの音と反射波を含めた部屋の音を同時に聞いているのです。それは、車と道路の関係に例えられるかもしれません。スーパーカーが性能を発揮するには、道路が重要であることは自明です。いかにドライビングテクニックを駆使(オーディオテクニック)しても、限界があるのです。
スーパーカーを車庫に眠らせていたり、街中走行するばかりだったり……、あなたの高性能機器はその能力を十分発揮しているのでしょうか。
 
 
Point  2】 理想のオーディオルームの形・黄金比とは  -定在波とのお付き合いの仕方-
  
部屋においては、固有の定在波群が発生します。コンサートホールのような大空間では問題にならない定在波のあり方が、小空間においては重大な音響的欠陥を生じかねないということを御存知でしょうか。AudioRoomの悩ましき問題点のひとつが、部屋の形からくる定在波の集中、偏在によるブーミング現象(低音)です。定在波の分散・均一化を実現する部屋の形・ゴールデンプロポーションは数多く存在していますが、偏在・集中を招くようなプロポーションも多く存在します。
ブーミング現象は波長の長い(数m)低音域で顕著にあらわれますから反射面を部分的に傾けたり、吸音材で対策しようとしても、ほとんど効果がないことはチャレンジした方は良く知っているはずです。定在波は平行面に発生するものだけでも、二次元的・三次元的に発生しますので、平行面をなくしたからといってなくなるわけではありません。
よいプロポーションで設計された部屋の響きは吸音の大小に関わらず、非常にスッキリしたキレイな響きになります。定在波のあり方を念頭に入れない音響設計はあり得ないのです。
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部屋の間口・奥行・天井高の比率が重要。
代表的な例として、a:b:cが整数倍にならないように
したり、極端に細長い形を避けるなどがあるが、
案件によって適宜対応するようにしている。
そのつど振動パターンを検討する。
   
 
Point  3】 部屋の形の検討なくして音響設計は始まらない。 ーオーディオルームは楽器とは真逆の関係ー
 
3 どのような空間もそれぞれ固有の響き(空気振動・定在波)を必ず持ちます。楽器というのは特定のピッチ(音程・周波数)で共振しやすい形・構造になっています。共振という現象を最大限に利用してあのような美しく大きい音を出しているのです。それならば、オーディオルームはどうなのでしょう。
楽器のように特定の共振構造を持っていては、まんべんなく全ての音を再生するうえで障害になってしまうことになります。空間に発生する複数の振動現象は特定のピッチに集まったりするような形でなく、分散するような形でなくてはなりません。
低音のブーミー感や高音域のフラッターエコー現象は音楽を再生するのに大きな障害になります。部屋が閉鎖空間である以上、定在波そのものはなくなるわけではありませんので定在波の重なりによる集中=共鳴が発現しないような部屋の形(開口・奥行き・天井高)の検討が音響設計の第一歩なのです。(8帖のような開口と奥行が1:1になるような形や、整数倍になるような関係は音響的タブーになっています。また細長い平面もよいとは云えません。)
 
 
Point  4】 いい音は間接音(反射音)が鍵となる
 
スピーカーから出る音をかぎりなく良くする。・・・これがオーディオ的音楽の聞き方であるとすれば、オーディオの醍醐味の半分しか味わってないことになります。
耳に届く音の半分、あるいは半分以上が反射音(間接音)であることを御存知ですか。
ハース効果という先行音効果により、あたかもSPからだけの音が聞こえるように感じる(※)のですが、実は半分以上を占める反射音の音が歪んているとしたら、トータルでは雑味をともなった歪んだ音を聞いていることになります。しかし通常反射音の歪成分は微少音であることから耳につきにくいのですが、直接音の増大にともなう反射音の歪音成分の増大は、耳のスレッショルドレベル(閾値)を越えだし、耳につくようになるのです。いわゆる音の飽和感は、絶対的音の大きさ以外にも歪成分の増大によってもたらされているという事実を知る人は多くありません。
高剛性で振動しにくい面でつくられた部屋での大音量は、音飽和感につながりにくいという意味は、ハイエンドオーディオの世界では無視できない大きなポイントです。 
4
音はスピーカーからの直接音の他、床・壁・天井の
各面を反射して私達の耳に届いている。
 
 
Point  5】 内装素材と下地構造、反射音のクオリティー 現代住宅内装の音響的問題点と伝統的西洋建築に学ぶ ー
 
現代住宅の内装構造は軽く薄い材料で構成された二重構造になっています。
 床を踏み鳴らすと・・・ドン・ドン
 壁を叩くと・・・バン・バン
 天井を叩くと(経験はないでしょうが)・・・ボン・ボン
これは、面材の屈曲振動の音と共鳴(タイコ現象)による音の合成音です。
反射音の音になんらかのこのような音が乗ってくるのです。小さい音だと気にならなかったのが音量を上げ出すと、雑味のある汚ない音になってくる原因になっているのです。今日まで響きの長・短を問題にすることはあっても、反射の質を問題とされることはありませんでした。
 
●一般的な部屋の構造
 フラッシュ構造(中空構造)の建具など
 
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ヨーロッパなどの組積構造とよばれる工法は、単層構造で重く厚い材料で作られています。二重構造による共鳴構造をもちませんし、重く厚い材料なので面共振(屈曲振動)も起きにくいのです。残響は長くなりますが、歪んだ響きにはならないのです。
西洋音楽と西洋楽器はそのような建築環境で育まれ、成立してきたということの意味は、再認識する意味があります。
オーディオ機器の高音質化の手段の一つは、あらゆる信号経路、躯体の高剛性化・無振動化にあることは周知の事実ですが音の伝達経路でもある現代住居の内装が、軽薄で振動しやすいことを認識するならば、答えは自ずからでてくるのです。
 
●伝統的ヨーロッパレンガ組積造
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Point  6】 音の良いオーディオルームの設計とは ー 部屋づくりは科学である ー
 
部屋の音響特性の代表例として
残響時間周波数特性(平均吸音率の設計)やSP音圧伝送周波数特性があります。
それらの設計指標や数値シュミレーションは有効な設計目標であったり手段であることは論をまちません。しかし、それらの分析技術が音場の包括的状態を表現しているわけではありませんので、必ずしもそのまま最良の結果につながるわけではありません。
Point1からPoint5で述べてきたように
1. 部屋の形(プロポーション)がもつ固有の響き(大きな音響欠陥につながる場合もある)に目 を向けること。-定在波コントロール-
2. 住宅内装構造に共通する音響的弱点や欠陥に目をむけること。
 -素材・下地構造の振動コントロール・無共振化-以上の2点が最重要基本ポイ ントになります。
設計の第一歩は1と2の検討から始まることなのです。それなくして残響設計や伝送周波数特性やその他もろもろの設計はありえません。誤解を恐れずに言うならば、上記2点がうまく設計できれば、オーディオルームの成功の80%が約束されるといっても過言ではありません。オーディオ機器の性能はフルに発揮されSPからの音は「単なる音情報」から「生き生きした音楽」に生まれ変わるのです。
 
●残響時間周波数特性
7
 
●SPリスニングポイント伝送周波数特性
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